「マゾタウンの雪」で、シヌノラは拉致され、縛られて犯されますが、踏み込んできたハーロックとトチローに助けられます。
その際、「何も殺さなくてもいいのに」「私 気にしない」とシヌノラは言います。
しかし、本当に気にしていないのでしょうか?
ちなみに、このエピソードにおいてシヌノラが犯された原因は間違いでしかなく、それを知ると相手は驚いて謝っていますが、即座にハーロックとトチローは殺しています。一応は、主人公である2人が間違えたと謝っている相手を殺すなど、異常でありすぎます。
本当に気にしていないのか? §
下着を含む服がバラバラに落ちていることは、強制的にはぎ取られたことを意味します。つまり、自分で脱いだわけではないでしょう。
更に言えば、縛られていることは反抗に対する強制である可能性を示唆します。つまり、シヌノラ自身が盛大に反抗しているにも関わらず、犯されたことになります。
ですから、気にしたと考えるべきでしょう。
つまり、以下のことが言えます。
- シヌノラは気にしている
- しかし、死という罰に値する行為だとは思っていない (間違いなのだから)
- 言葉の表現上は「嘘」になっている
なぜ間違いの発覚は遅れたのか §
前提としてトチロー達は日本人に会いに行きます。そこで、酒瓶と女の山に遭遇します。そこで、トチローとハーロックは中に入りますが、シヌノラは入りません。これは当然です。物理的にも精神的にも入りにくい理由があります。
- 酒瓶と女の山で物理的に入れそうにない
- 自分も女の山の1人になってはまずい
- 日本人は日本人だけで話をさせたい
従って、シヌノラは外で待ちます。
そこで運悪く他の街の男が通りかかります。
彼は、犯す価値のある良い女が一人で所在なげに立っている状態を見ます。
即座に拉致して縛って犯したのでしょう。
いきなり口を塞いで服を剥いで建物に連れ込めば、そこで間違いは発覚しないでしょう。
さて、犯人は「この町も女は犯してよい」と考えています。
しかし、シヌノラは「西部の女は犯されても仕方がない」と考えています。
つまり、両者の考え方は正面から噛み合ってしまいます。
更に犯人複数であり、別の男は穴が塞がっているので男性器でシヌノラの口も塞いだとすれば更に発覚は遅れることになります。
更に言えば、トチロー達とウッド・フォークとの話は長くなると思っていますから、シヌノラは時間を潰さねばなりません。(すぐ話が終わって、後で決心が付いた後で戻ると決まる場には立ち会っていない)
もっと言えば、相手は悪人ではありません。組織の者でもありません。反撃する必要もありません。
従って、シヌノラは男を楽しむゆとりを得ます。
マゾタウンを離れた後で「ハラがたったら噛みつく」と公言するシヌノラですが、噛みついていない以上、腹は立っていないのでしょう。
そこで、以下のように考えられます。
- 実はシヌノラは犯される行為を楽しんでしまった
- 従って、シヌノラは相手に好感を持っていて殺すべき恨みは持っていない
- トチローとハーロックは逆にシヌノラが受け入れた男であるために排除する必要に迫られる (シヌノラの男は日本人だけで良いのだ)
- 先に手を出すのは必然的にトチローではなく、シヌノラとの性交回数が多いハーロックである
そこから延長して考えられることは §
すると、以下はシヌノラにとって問題ではないことになります。
- いきなり犯されること
- 服を脱がされること
- 複数の男が同時に犯されること
- 縛られながら犯されること
すると、5人から同時に犯される「ミス イザナミの乱行」の銭湯シーンにも続きます。このシーンにおいて、シヌノラは事後に5人を射殺していますが、5人から同時に犯されたことは問題にしていません。
しかし、更にその次は「チカメとクマと女と穴だけの町」ですが、そこで女と交わる行為は問題となります。つまり、同性や動物が相手であることは問題になるのに対して、相手が男である限り問題にはならないことになります。
余談・殺しを正当化する論理は §
トチローは「なぐられたら殴り返す。やられたらやり返す。これ弱肉強食の西部の掟」と言っています。これに「男は殺せ。女は犯せ」というルールを加味すれば、強姦の逆襲は殺害になります。
その意味で、トチローとハーロックの行動は理に叶っています。奇異に思われるかもしれませんが、ここで西部の掟は人種を越えて適用され、むしろ差別を肯定する「白人の論理」を否定します。マゾタウンの者と周囲の街の者は、差別の肯定者として断罪されねばなりません。従って、マゾタウンは気に入らないから放火されて消滅し、周囲の街の者は間違いでも殺される運命にあります。